被リンクを獲得する方法とは?具体的な方法を徹底解説
2026.01.28
調べものの答えや記事の下書き、資料に載せる数値など、生成AIが作ったものをそのまま使った経験はないでしょうか。生成AIの回答はもっともらしく見えますが、事実と異なる内容が紛れ込むことがあります。この現象は「ハルシネーション」と呼ばれています。
生成AIの性能は年々上がっていますが、ハルシネーションがなくなったわけではありません。OpenAI社も、新しいモデルではハルシネーションが著しく減った一方で、それでも発生し、すべての言語モデルにとって根本的な課題であり続けていると説明しています。
参考:言語モデルでハルシネーションがおきる理由(OpenAI)
生成AIの精度が上がっても、生成AIが作った情報をファクトチェックする重要性は変わりません。確認しないまま記事や営業資料、広告に使えば、誤った情報を自社の公式情報として発信してしまい、読者や取引先の信頼を損ねたり、訂正や差し替えに追われたりするおそれがあります。
この記事では、情報収集や記事制作、資料作成で生成AIを使うマーケティング担当者に向けて、AIを活用したファクトチェックのやり方を5つのステップで解説します。
※この記事は、アドビ社のPR企画「みんなのAI活用」に参加して制作したものです。
生成AIは文章を短時間で作れる一方、書かれた内容が事実かどうかまでは保証されません。総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」でも、生成AIが事実と異なることをもっともらしく回答するハルシネーションが、生成AIを利用する際のリスクの一つとして取り上げられています。
私たちも、あるサービスを生成AIでリサーチした際、挙がってきた候補を一つずつ確認していくと、すでに提供が終わったサービスまで含まれていたことがありました。
生成AIの出力で注意したい誤りは、主に次の4つです。
どの回答も一見正しそうに見えるため、AIファクトチェックでは、誤りが潜みやすい場所をあらかじめ押さえておくと、確認の漏れを減らせます。
参考:AI事業者ガイドライン(第1.2版)別添(総務省・経済産業省)
生成AIは、学習した大量の文章をもとに、続きとして自然な言葉を予測しながら文章を作ります。そのため、事実ではない内容でも、もっともらしい文章として出力する場合があります。
とくに注意したいのが出典です。AI事業者ガイドラインでは、米国の弁護士が民事訴訟の資料作成に生成AIを使い、存在しない判例を引用して問題になった事例が紹介されています。存在しない資料名やURLが示されるだけでなく、実在する資料なのに該当する記述が見当たらないケースもあるので注意しましょう。
私たちの記事制作でも、確認の段階でたびたび見つかるのが、数値そのものは正しいのに、添えられた出典にはその数値が載っていないケースです。出典が添えられていても、それだけで正しいとは判断できません。
生成AIが作った文章は、示された出典元を開き、該当の記述が本当にあるか、数値まで一致しているかを確かめましょう。とくに数値や制度名、固有名詞を含む記述は、どの資料のどこに根拠があるかをたどれる状態にしておくと、あとから確認しやすくなります。
生成AIの知識は、学習に使ったデータの時点までの情報に基づいています。Web検索を使わずに質問すると、その後に改正された制度や、変更された料金・仕様を反映しないまま、現在の情報として答える場合があります。
マーケティング業務では、広告に関するルールや各種ツールの仕様、統計の最新値など、鮮度が大切な情報を扱う場面が少なくありません。実際に私たちが生成AIを利用しているときにも、同じ制度改正の反映漏れが、複数の記事にまたがって見つかったことがありました。
生成AIで記事や資料を量産するほど、古い情報が一度に広がりやすくなる点にも注意が必要です。生成AIの回答が「いつ時点の情報か」を確かめ、新しい版や改正がないかを一次情報で確認しましょう。
数値そのものは資料どおりでも、調査の対象や期間、定義などの条件が抜け落ちると、意味が変わってしまいます。生成AIは文章を短くまとめる過程で、こうした条件を省きがちです。
たとえば総務省の「令和7年通信利用動向調査」の報道発表の資料では、SNSを利用している人の割合は82.3%です。この数値には、次の条件があります。
これらの条件を記載せずに「日本人の82.3%がSNSを使っている」と書くと、資料が示す内容からずれてしまうでしょう。ほかにも、次のような条件の抜けがよく起こります。
| 抜けやすい条件 | 起きがちな書き換え |
|---|---|
| 母数 | 「回答者のうち30%」が「全体の30%」になる |
| 対象の範囲 | 「従業員300人以上の企業」の結果が「企業全体」の結果になる |
| 比較の基準 | 「前年から5ポイント増」が「5%増」になる |
| 金額の条件 | 税込と税抜の金額が混ざる |
数値を使うときは、値とセットで「誰を対象に、いつ、どう測ったか」まで表記するようにしましょう。特に、広告やLPで調査結果の数値を使う場合、条件を省いた表示は、景品表示法で禁止されている優良誤認(実際より著しく優良であると示す表示)にあたるおそれもあります。
消費者庁の「No.1表示に関する実態調査報告書」でも、第三者の機関が調査したことを確かめるだけでは不十分で、広告に使う側が調査の中身まで確かめる必要があると指摘されています。
こうした条件をあらかじめ生成AIへの指示に含めておかないと、生成された文章が景品表示法に抵触しかねません。広告やLPの文章を生成AIで作るときほど、生成前の準備が大切です。
参考:令和7年通信利用動向調査の結果(総務省)
参考:優良誤認とは(消費者庁)
参考:「No.1表示に関する実態調査報告書」の公表について(消費者庁)
長い資料を生成AIに要約させると、「可能性がある」「一部では」などの限定の言葉が省かれ、原文より強い言い切りになることがあります。科学論文の要約を調べた2025年の研究では、検証した10種類の生成AIモデルの多くが、原文より結論を広げて要約していたと報告されました。
同じ研究では、新しいモデルほど、原文が示す範囲を超えて結論を広げてしまう傾向が見られました。また、正確さを求める指示を加えても、こうした問題は防げず、かえって増える傾向もありました。「正確に要約して」と頼むだけでは足りません。
この記事を書くために総務省の調査結果を調べた際も、Webページを要約した生成AIが、企業のテレワーク「導入」の割合を「実施」の割合と言い換え、原文にない「過去最高」の評価まで付け足していました。資料で確かめると、その値は前年より増えていたものの、過去にはさらに高い年もあり、「過去最高」は誤りでした。
要約文は、主語の範囲や語尾の強さが原文と一致しているか、原文にない評価の言葉が足されていないかを見比べましょう。
AIを使ったファクトチェックの精度は、何と照らし合わせるかで大きく変わります。生成AIに確認を頼む前に、根拠にする情報源を決めておきましょう。生成AIに読み込ませる資料を選ぶときも、考え方は同じです。
ファクトチェックを始める前に押さえたいポイントは、次の3つです。
一次情報とは、調査や発表をおこなった当事者が自ら公開している情報です。ニュース記事やまとめサイト、生成AIの回答は、一次情報を誰かが要約・引用した二次情報にあたります。二次情報を経由するたびに、転記ミスや条件の抜けが入り込む余地が生まれるため、注意が必要です。
リサーチの際の情報元は、次のような一次情報に限定します。ただし、企業が発信している情報であっても誤りが含まれることはあるため、気をつけましょう。
| 主張の種類 | 一次情報の例 |
|---|---|
| 法律・制度 | e-Gov法令検索、所管する省庁の公式ページ |
| 統計・市場データ | 政府統計の総合窓口(e-Stat)、各省庁が公表する調査の報告書 |
| 企業・製品の情報 | 企業の公式サイト、プレスリリース、IR資料 |
| ツールの仕様・料金 | 提供元の公式ヘルプや料金ページ |
| 研究の結果 | 学術誌や研究機関が公開している論文 |
これらの情報をもとに作られた記事や生成AIの回答も、引用元をたどり、最初に公表された資料で確かめましょう。同じテーマの一次情報が複数ある場合は、突き合わせて食い違いがないかも見ておくと安心です。
参考:法令検索(e-Gov)
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)
資料の公開日が新しくても、中身のデータが新しいとは限りません。年次の報告書には、前年や前年度のデータを載せているものも多くあります。
一次情報を開いたら、次の項目を確認します。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 公表日・更新日 | 新しい年度版や改訂版、正誤表が出ていないか |
| 対象期間 | データがいつ時点のものか(調査の時期・集計の年度) |
| 調査対象 | 地域・年代・業種・企業規模・回答者数 |
| 調査方法 | Webアンケート、郵送調査、行政データの集計など |
| 定義・注記 | 用語の定義、複数回答かどうか、単位、無回答の扱い |
修正後の再チェックで、公表後に一部が訂正された行政のPDFから、訂正前の数値を使っていたことに気づいたケースもあります。「いつ公表されたか」だけでなく、「いつの、誰を対象に、何を測ったデータか」と、訂正や新しい版がないかまで確認しましょう。
また、行政や政府が発表しているデータには、同じ調査を毎年など定期的に実施しているものもあります。参照しているデータが最新の回のものかどうかも確かめておきましょう。
文章には、確かめられる「事実」と、書き手の評価や見通しである「意見・推測」が混ざっています。生成AIの文章は両者が自然につながっているため、区別しないまま確認を始めると、検証しようがない主張に時間を使ってしまいます。
| 種類 | 例 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 事実 | 「〇〇省の調査では、△△と回答した企業が□%だった」 | 一次情報と照らし合わせる |
| 意見・推測 | 「今後も市場は拡大する見込みだ」「〇〇が効果的だ」 | 誰の見解か、何を根拠にしているかを示す |
総務省の教材でも、「懸念される」「波紋が広がっている」などの表現は意見にあたるとして、情報には事実と意見が混ざりやすいことが解説されています。ファクトチェックの専門団体であるファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)の定義でも、検証の対象は客観的に確かめられる事実の部分とされ、意見や評価は対象外です。
ファクトチェックの対象は、確かめられる事実の部分に絞りましょう。意見や推測は「~と考えられます」「〇〇の予測では」のように書き分け、根拠を添えます。自社の経験や独自の考察を書く場合も、事実と混ぜずに主語を明らかにしておくと、読み手が情報の確かさを判断しやすくなります。
事実と意見が混ざる例としてとくに多いのが、誇張表現です。記事や生成AIの回答には、主張を必要以上に強調した表現が含まれていることがあります。その分野に詳しい人が読むと違和感を抱く表現になりかねないため、気をつけましょう。
参考:インターネットとの向き合い方~ニセ・誤情報にだまされないために~第2版(総務省)
参考:ファクトチェックの定義など(ファクトチェック・イニシアティブ)
関連記事:E-E-A-Tとは何か?SEOにおいて重要な4つの要素の対策方法
AIを使ったファクトチェックは、「この文章は正しい?」と聞いて終わりにせず、確認したい情報と根拠、確認結果を一つずつ整理しながら進めるのがコツです。生成AIと人の目で複数回レビューを重ねると、見落としを減らせます。
生成AIには、確認が必要な箇所の洗い出しや資料との突き合わせ、根拠探しを任せ、真偽の最終判断は人が一次情報でおこなうのが基本です。手順は、次の5つのステップで進めます。
私たちも生成AIを使ってリサーチしたものに対して同様の流れを取り入れ、数値や制度名を含む文を一覧にして、作成に使ったものとは開発元の異なる生成AIに根拠付きで判定させています。指摘は原典と照らし合わせたうえで反映するかを判断し、修正したら再チェックをかける運用です。
文章をまるごと渡して「間違いを探して」と頼むと、生成AIがどの文を確認し、どの文を読み飛ばしたのかが見えません。返ってこなかった部分が「問題なし」なのか「確認していない」のか、区別できなくなります。
まずは文章を「1文に1つの情報」に分け、番号を振った一覧を作りましょう。一覧は、次のような表にしておくと後の工程で使い回せます。
| 番号 | 情報(原文のまま) | 種類 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 〇〇の市場規模は△億円(□年) | 統計 | 高 |
| 2 | 〇〇法の改正で△△が義務になった | 法律・制度 | 高 |
| 3 | 〇〇ツールは無料プランでも△△機能を使える | 製品の仕様 | 中 |
| 4 | 〇〇は多くの企業で導入が進んでいる | 傾向の説明 | 中 |
優先度は、数値や統計、法律・制度、固有名詞、日付を含む情報ほど高くします。「唯一」「すべての」「~に限り」など範囲を言い切る表現も誤りが起きやすいため、一覧に加えておくと見落としを防げます。
情報の抜き出しも生成AIに任せられるので、次のように要約や言い換えを禁じたうえで、原文のまま書き写してもらいましょう。
次の文章から、数値・固有名詞・日付・法律や制度に関する情報を、要約や言い換えをせずに原文のまま抜き出してください。
「番号|情報(原文のまま)|種類|優先度」の表にまとめ、判定や修正はしないでください。
(確認したい文章を貼り付け)
一覧ができたら、生成AIに確認を依頼します。依頼文では、次の3点を指定しておきましょう。
| 指定する項目 | 指定の例 |
|---|---|
| 調べる範囲 | 行政・公的機関・発表元の公式ページを優先し、まとめサイトや個人ブログは根拠にしない |
| 根拠の示し方 | 情報ごとに資料名・URL・該当箇所の引用を付ける(「一致」の場合も含む) |
| 判定の区分 | 「一致」「要修正」「誤り」「検証不能」の4つから選ぶ |
とくに大切なのが、「根拠を確認できない場合は推測で埋めず、『検証不能』と答える」と明記しておくことです。OpenAI社は、生成AIが推測で答えてしまう背景として、多くの評価の仕組みが「不明」と答えるより推測したほうが得点を得やすい作りになっている点を挙げています。
Anthropic社が紹介するハルシネーションを減らす手法にも、生成AIが「不明」と答えることを許可する方法や、直接の引用で根拠を示させる方法が含まれます。該当箇所の引用を求めておけば、その記述が原文にあり、回答を裏付けているかを、人があとから確かめやすくなるのも利点です。
依頼は数十件ずつに分けておくと、行の飛ばしや推測での穴埋めがあっても気づきやすくなります。
参考:言語モデルでハルシネーションがおきる理由(OpenAI)
参考:ハルシネーションを減らす(Claude Docs)
生成AIから結果が返ってきたら、まずステップ①で作成した一覧のすべての情報に判定が付いているかを確かめます。回答から抜けていた情報は「問題がなかった」のではなく、「確認されていない」だけです。
判定ごとに、次のように対応しましょう。
| 判定 | 意味 | 次にやること |
|---|---|---|
| 一致 | 資料の記述と合っている | 引用された箇所が元の文と合っているかを抜き取りで確かめる |
| 要修正 | 数値は合っているが、年次・対象・条件の明示が足りない、または言い過ぎている | 条件を補い、表現を資料にあわせて直す |
| 誤り | 資料と数値が違う、または資料にその記述がない | 資料を開いて確認したうえで、修正または削除する |
| 検証不能 | 資料を開けない、または一次情報にあたれない | 人が一次情報を探し、見つからなければ削除するか表現を弱める |
生成AIの判定も一つの意見として扱い、原典と照らし合わせてから反映しましょう。実際に、生成AIが「この記述は誤りです」と指摘した箇所が、原典で確認したところ間違っていなかったこともありました。回答をうのみにしていれば、正しい記述を誤った内容に書き換えていたことになります。
1回目の確認と修正を終えたら、開発元の異なる生成AIに、修正後の文章をもう一度確認してもらいます。同じ生成AIに確認させると、自分の文章への評価が甘くなるおそれがあるためです。
ニュース記事の要約を題材にした研究でも、生成AIが、人が同程度と評価した他の要約より、自分の要約を高く採点する傾向が報告されています。
別の生成AIには「正しいか」を聞くより、数値の条件の抜け、原文より強い断定、反対の結果を示す資料、新しい版の有無を探してもらうほうが効果的です。1回目の確認結果もあわせて渡し、「正しいとは限らない前提で点検して」と伝えると、別の視点からの指摘を得やすくなります。
ただし、複数の生成AIの答えが一致しても、それだけで正しさの証明にはなりません。350以上の生成AIモデルを分析した研究では、2つのモデルがともに間違えたとき、同じ誤答を選ぶ割合が偶然の水準を大きく上回っていました(評価データの一つでは平均約6割)。
精度の高いモデルほど、開発元が違っても誤り方が似る傾向も報告されています。生成AI同士の判定の一致・不一致は、重点的に確かめる箇所を絞る目安にとどめ、最終的な判断は次のステップでおこないましょう。
参考:Correlated Errors in Large Language Models(ICML 2025)
参考:LLM Evaluators Recognize and Favor Their Own Generations(NeurIPS 2024)
最後は人が一次情報を開き、修正後の文章と照らし合わせます。確認するのは、数値や日付が資料どおりか、対象や期間などの条件が抜けていないか、語尾の強さが原文と合っているかの3点です。
修正の過程で、新しい誤りが入り込むこともあります。修正案の文に、区分の境目となる数値の誤りが紛れ込んでいた例もありました。
修正前後の文章を並べて差分を確かめ、確認した日付と資料名、該当ページを記録しておきましょう。公開後にお問い合わせを受けたときも、根拠をすぐに示せます。
生成AIは確認作業を速くする道具であり、公開してよいかを判断するのは人の責任です。総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」も、AIの生成物を利用する際の対策として、人間の判断を介在させることを挙げています。
参考:AI事業者ガイドライン(第1.2版)本編(総務省・経済産業省)
関連記事:文章校正とは?9つのやり方やコツとおすすめのツールもご紹介!
確認作業に使える生成AIツールは1つではなく、おすすめのツールは作業の種類によって変わります。AIファクトチェックの効率を上げるには、作業ごとに向いているツールを使い分けましょう。
| 作業 | 向いているツール | 主な使い方 |
|---|---|---|
| 公開情報・更新内容の確認 | Web検索を利用できる生成AI | 制度改正や仕様変更の確認、一次情報の特定 |
| 手元の資料との照合 | Adobe Acrobat AIアシスタント | PDFの資料をまとめ、引用元をたどって根拠を確認 |
どのツールを使う場合も、社外秘の情報や個人情報を入力してよいかは、自社のルールと、各サービスのデータの取り扱いを確かめてから判断しましょう。
個人情報保護委員会も、事業者が生成AIサービスに個人情報を入力する際は、利用目的の範囲内かを確かめ、本人の同意なく入力する場合は、そのデータが機械学習に使われないことなどを十分に確認するよう注意を呼びかけています。
参考:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(個人情報保護委員会)
制度の改正やサービスの仕様変更、統計の最新値など、学習データの時点より新しい情報を確かめたいときは、Web検索を利用できる生成AIが役立ちます。回答に出典のリンクが示されることが多く、一次情報のページを探す入口として便利です。
ただし、出典が付かない回答もあるうえ、検索結果には古いページや二次情報も混ざり、生成AIが示す引用が不完全なこともあります。
依頼するときは「行政や発表元の公式ページを優先して」と指定します。回答を読んだら、リンク先の原文を開き、該当の記述と日付を確かめるところまでを1セットにしましょう。
この作業には、ClaudeやChatGPT、GoogleのGeminiなどを使えます。
白書や統計の報告書、ガイドライン、IR資料など、一次情報の多くはPDFで公開されています。Adobe Acrobatの「AIアシスタント」は、開いたPDFに書かれた内容をAIに質問でき、回答に引用元が付く仕組みです。引用元となる番号リンクをクリックすると文書の該当箇所へ移動するので、原文とすぐに見比べられます。
複数の資料をまとめて確認したいときは「PDF スペース」が便利です。1つのスペースには100件までのファイルを追加でき、PDFのほか、WordやExcelなどのファイル、テキスト、公開されているWebページのリンクもまとめられます(ファイルやリンクはPDF スペースにアップロード時点で自動的にPDF化されます)。
PDF スペースでもAIに質問でき、回答の引用元には資料名やページ番号も示されるので、複数の資料を扱う場合も、根拠の場所をたどるのに迷いません。
アドビ株式会社(以下、アドビ)によると、AIアシスタントが分析するのは利用者が指定した文書なので、根拠にしたい資料だけと照らし合わせられます。
AIアシスタントとPDF スペースは、Acrobat Studioで使えるほか、Acrobat StandardやAcrobat Pro、無料のAcrobat Readerでも、有料の追加機能「Acrobat AIアシスタント Plus」を加えれば利用可能です(2026年9月時点)。
なお、アドビは、Acrobatの生成AI機能を支えるモデルのトレーニングに、顧客のコンテンツを使わないと説明しています。文書はクラウドで処理されるため、社外秘の資料を扱う場合は、ほかのツールと同じく自社のルールを確かめてから使いましょう。
参考:Acrobat での AI アシスタントの使用(アドビ)
参考:サポートされているファイル形式と制限事項(アドビ)
参考:PDF スペースに関する FAQ(アドビ)
ここからは、生成AIの普及状況を説明する社内資料の下書きを、Adobe Acrobatで一次資料と照合する流れを紹介します。5つのステップでいえば、②③の資料との照合と、⑤の人による最終確認にあたる作業です。題材は、生成AIが下書きした次の一文です。
総務省の最新の情報通信白書によると、日本で生成AIを使ったことがある人は26.7%にとどまり、米国(68.8%)や中国(81.2%)に大きく後れを取っています。
一見それらしい文ですが、数値の出どころと時点、調査の条件を確かめていきます。手順は次の3つです。
まずは、主張の根拠になりうる一次資料を集めます。この例では、総務省の「令和8年版情報通信白書」から、生成AIの利用状況を扱った節のPDFと、調査方法をまとめた付注のPDFをPDF スペースに追加します。比較のために、前年の令和7年版の概要もあわせて入れておきましょう。

ポイントは、確認したい下書きそのものは入れず、根拠となる資料だけでスペースを作ることです。下書きを一緒に入れると、AIアシスタントが下書きの記述を根拠として引用してしまうおそれがあります。
下書きも同じスペースに入れておきたい場合は、質問するときに「〇〇(資料名)の記載だけを根拠にしてください」のように、参照してほしい資料をプロンプトで指定しましょう。下書きの記述が根拠として引用されるのを防ぎやすくなります。
スペースには「情報通信白書_生成AI」などテーマが伝わる名前を付けておくと、別の資料を作るときにも使い回せます。独自のAIアシスタントを作成し、「資料に記載がない内容は推測せず『記載なし』と答える」などの指示を保存しておけば、毎回同じ観点で確認できて効率的です。
資料がそろったら、AIアシスタントに質問します。「この文は正しいですか?」と聞くのではなく、数値そのものと、その数値の条件を資料から抜き出してもらうのがコツです。
資料の中から、日本で生成AIを使ったことがある人の割合を示す記述を探してください。
数値に加えて、調査の実施時期、調査方法、調査対象の年齢、設問の表現を、資料の記載どおりに抜き出してください。
前年の調査と比べる際の注意点が書かれていれば、それも示してください。
資料に記載がない項目は「記載なし」と答えてください。

根拠の引用元を表示させるため、質問は資料と同じ言語(日本語の資料なら日本語)でおこないましょう。アドビのヘルプでも、質問と回答の言語が文書の言語と異なる場合は、根拠が表示されないと案内されています。
参考:Adobe Document Cloud 生成 AI コンテンツ使用に関する FAQ(アドビ)
回答に付いたソース番号を選ぶと、白書の該当箇所が開きます。AIアシスタントの回答を読むだけで終わらせず、引用された箇所の前後や脚注、図表の注記まで、自分の目で確かめましょう。

この例では、次の点が確認できます。
| 確認した点 | 資料の記載 | 修正で気をつける点 |
|---|---|---|
| 資料の版 | 最新は令和8年版(2026年7月公表)。26.7%は前年の令和7年版に載った値 | 古い版の数値を「最新」として書かない |
| 数値 | 日本58.8%、米国75.6%、ドイツ75.6%、中国93.6% | 国別の値も同じ版にそろえる |
| 調査対象 | 2024年度の調査までは20歳以上。2025年度の調査から15~19歳が加わり、20歳以上に限ると52.2% | 前年度の26.7%と単純に比べない |
| 調査方法 | 2026年1~2月のインターネットアンケート。調査会社のモニターから年齢と性別が偏らないように抽出 | 「日本人の〇%」と読める書き方をしない |
確認した内容をもとに、下書きを次のように直します。
修正前(生成AIの下書き):総務省の最新の情報通信白書によると、日本で生成AIを使ったことがある人は26.7%にとどまり、米国(68.8%)や中国(81.2%)に大きく後れを取っています。
修正後(一次資料で確認した内容):総務省の「令和8年版情報通信白書」(2026年7月公表)によると、2026年1~2月に実施したインターネットアンケートで、生成AIサービスを「使っている(過去使ったことがある)」と回答した割合は、日本が58.8%、米国とドイツが75.6%、中国が93.6%でした。この調査から対象に15~19歳が加わっており、20歳以上に限った日本の割合は52.2%です。
照合で見つかった誤りをその場で修正する際、手元の資料がPDFであれば、Acrobat ProやAcrobat Studioの編集機能で直接手直しできます。元のWordやPowerPointを探す手間が省けるためスムーズです。なお、テキストの追加やコメント、ハイライトといった簡単な作業なら、ブラウザから使える無料のオンラインPDF編集ツールでもおこなえます。
ステップ⑤の差分確認には、Acrobat ProまたはAcrobat Studioの「ファイルを比較」が便利です。修正前の版との違いをハイライトで確かめられるほか、確認した箇所にハイライトやコメントを残しておけば、あとで別の担当者が見直すときの記録にもなります。
数値だけでなく、資料の版・調査対象・調査方法まで原文で確かめると、生成AIの下書きに潜むハルシネーションが見えてくるはずです。アドビも、AIが生成した回答は二重に確認するよう案内しています。
参考:令和8年「情報通信に関する現状報告」(令和8年版情報通信白書)の公表(総務省)
参考:PDFの文字を編集する方法(フォント変更・追加・削除)(アドビ)
参考:Adobe Acrobat で、PDF ファイルの 2 つのバージョンを比較します。(アドビ)
関連記事:誰でもわかる!ホワイトペーパーの種類と作り方【実際のプロが徹底解説】
ここでは、5つのステップのうち、生成AIに依頼する場面で使えるプロンプトを2つ紹介します。( )の部分を、自分の文章や資料に置き換えて使ってください。
「正確に」と指示するだけでは誤りを防ぎきれないため、どちらも判定の区分や根拠の示し方を具体的に指定しています。情報の抜き出しに使うプロンプトはステップ①に、Acrobat AIアシスタントへの質問例は実践例に載せているので、あわせて参考にしてください。
ステップ②と③で使うプロンプトです。
あなたは、記事や資料の事実確認を担当する編集者です。
次の【情報一覧】を、【参照資料】と照らし合わせて検証してください。
文章の良し悪しの評価は不要です。
■ルール
・根拠にしてよいのは、参照資料と、行政・公的機関・発表元の公式ページだけです
・判定は次の4つのいずれかにしてください
一致:資料の記述と合っている
要修正:数値は合っているが、年次・対象・条件の明示が足りない、または資料が示す範囲を超えて言い切っている
誤り:資料と数値が違う、または資料にその記述がない
検証不能:資料を開けない、または一次情報を確認できない
・資料を確認できない情報は、推測で判定せず「検証不能」としてください
・どの判定でも、根拠にした資料名・URL・該当箇所の引用を書いてください
・一覧のすべての情報に、1行ずつ判定を付けてください
■出力形式
次の列を持つ表で出力してください。
番号|判定|根拠(資料名・URL)|該当箇所の引用|条件の違い|修正案
【情報一覧】
(番号を振った情報を貼り付け)
【参照資料】
(資料名とURL、またはファイル)
判定の区分と意味を先に決め、「検証不能」の選択肢を用意しておくと、根拠が弱いまま「一致」と判定される事態を減らせます。
ステップ④で、1回目とは別の生成AIに入力するプロンプトです。前の結果をなぞるだけにならないよう、疑う立場と点検の観点を具体的に伝えます。
あなたは、ほかの担当者がおこなった事実確認を点検する検証者です。
次の【修正後の文章】と【確認結果】に見落としがないか、独立して確認してください。
確認結果が正しいとは限らない前提で読んでください。
■確認すること
1. 数値の条件(調査対象・期間・単位・定義)が抜けていないか
2. 原文より強い言い切りや、対象範囲の広げすぎがないか
3. 主張と異なる結果を示す一次情報がないか
4. 新しい版や訂正版、制度の改正が出ていないか
■出力形式
指摘ごとに「該当箇所|問題点|根拠(資料名・URL・該当箇所の引用)|修正案」の表で出力してください。
根拠を示せない指摘には「要確認」と書いてください。問題がなければ「指摘なし」とだけ答えてください。
【修正後の文章】
(貼り付け)
【確認結果】
(ステップ③で整理した表を貼り付け)
反対の結果を示す資料まで探させるのは、都合のよい根拠だけを集めてしまう偏りに気づくためです。指摘が出たら、ステップ⑤で一次情報を開いて採否を決めましょう。
生成AIを使った確認作業で、よく挙がる疑問は次の3つです。
無料の生成AIでも、基本的なファクトチェックはおこなえます。主要な生成AIの多くは、無料版でもWeb検索やファイルの読み込みに対応しているためです。
ただし、無料版は利用回数やファイルの容量に上限があるほか、サービスや設定によっては、入力した内容が生成AIの改善(学習)に使われる場合があります。業務で使う前に、データの扱いに関する設定と、社外秘の情報を入力しないなどの社内ルールを確認しておきましょう。
PDFの資料との照合を試したい場合は、Acrobat Studioの7日間の無料体験で、AIアシスタントやPDF スペースを使えます(2026年10月時点)。無料体験の終了後は有料プランに切り替わるため、料金や解約の条件を公式サイトで確認してから申し込みましょう。
なお、Acrobatのオンラインツールでも無料体験可能ですので、気になった方は以下から試してみてください。
判断が分かれたときは多数決で決めず、それぞれの生成AIが示した根拠を比べたうえで、人が一次情報を開いて確かめます。分かれる原因は、参照した資料や集計方法の違いであることも少なくありません。
たとえば総務省の「令和7年通信利用動向調査」では、インターネット利用者に占めるSNSの利用割合が、報道発表の資料では82.3%、報告書(世帯編)では79.4%と、資料によって数値が異なります。
報道発表の資料は無回答を除いて算出していると注記されており、集計の母数が違うためです。どちらの資料を根拠にしたかで、生成AIの答えが分かれることもあるでしょう。
まずは各生成AIが挙げた資料名・URL・該当箇所を並べ、どれが一次情報で、どの資料のどの集計の値かを確認しましょう。一次情報を確かめても決着がつかない場合は、言い切りを避けて条件を書き添えるか、その記述自体を削る判断も必要です。
文章と同じく、画像やグラフも確認の対象です。生成AIが作ったグラフや、生成AIが資料の図表から読み取った数値は、元の表と値や単位がずれていることがあります。とくに、線の種類が見分けにくいグラフや画質の低い画像は、読み取りの誤りが起きやすいので注意しましょう。
グラフは、元データと数値・単位・期間が一致しているか、出典が書かれているかを確かめます。総務省統計局も、グラフの表し方によっては実際の数字と異なる印象を与えることがあるとして、縦軸は0を基準に作るよう解説しています。
資料を加工して作った図には「〇〇を基に作成」と添えておくと、読み手が元の資料をたどれて親切です。
写真やイラストは、生成AIで作られたものや加工されたものが混ざることもあります。コンテンツクレデンシャル(Content Credentials)が付いた画像なら、検証ツールで作成や編集の履歴を確認できます。
ただし、コンテンツクレデンシャルが付いていない画像も多く、その有無だけでは本物かどうかを判断できません。入手元の確認とあわせて使いましょう。
参考:5.結論と新たな課題(なるほど統計学園)
参考:About C2PA(C2PA)
生成AIの性能が上がっても、ハルシネーションはなくなっていません。AIファクトチェックは、生成AIに正誤を聞くだけで終わらせず、確認したい情報を一覧にして根拠と照らし合わせ、最後は人が一次情報で確かめる流れで進めることが大切です。
生成AIの出力には、実在しない出典や古い情報、条件の抜け、強すぎる断定などの誤りが紛れ込みます。一次情報を押さえたうえで、5つのステップと作業別のツール、プロンプト例を組み合わせれば、確認の抜け漏れを減らしながら効率よく進められるでしょう。
なかでも手元の資料との照合は、Adobe AcrobatのAIアシスタントとPDF スペースを使うと、引用元をたどりながら進められます。まずは次に作る資料で、根拠にするPDFをPDF スペースにまとめ、AIアシスタントに数値の条件を質問するところから試してみてください。
機能や利用できるプランは、Acrobat AIアシスタントの公式ページで確認できます。
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